『ススキ竿』その9:今後の課題 | 釣り工房 海幸彦

釣り工房 海幸彦

自作釣り具を使った釣りの紹介です

(前回の記事からの続き)

 さて、これまで私なりのススキ竿での釣りを紹介してきました。しかし、「ススキ竿の最大の魅力は“折れること”」と繰り返し述べておきながら、その肝心の「竿が折れる様子」については紹介していません。実は私、ススキ竿で釣りをしていて、まだ竿を折ったことがないのです。
 矢口作品において、ススキ竿がテーマになっている話では、竿が折れるシーンは必ずと言っていいほど描かれています。「アタリがあってアワせる際についリキみ過ぎてしまった」、「掛かった魚と強引にやり取りしてしまった」等の理由により、竿を折っているのですが、これらの作中のシーンが私の頭に強烈に焼き付いているせいでしょうか、私は逆に過剰に慎重になり過ぎているのかもしれません。慎重というよりも“弱気”といった方が正しいでしょうか。どういうことかというと、竿を折るのを恐れるあまり、掛かった魚が“デカすぎる”と判断した場合は、その魚を“獲る”ためよりも、“竿を折らない”ためのやり取りをしてしまうのです。
 ふつう釣りをする場合は、魚が掛かると、魚が引く力を“竿の弾性”で吸収していなすために、竿の弾性を最大限活かせるように竿の角度を保ちながらやり取りします。不意の大物のヒキに面喰らって竿を伸されている人に対し、周りの人が「竿を立てろ」とアドバイスしていることがよくありますが、それはすなわち、「竿の弾性を活かせるように竿の角度を保て」ということでしょう。普通の竿ならば、それで折れることはありませんが(タックルの限界を超えるような大物が掛かった場合は、竿が折れるより先に糸が切れたり鈎がのびたりしてしまうでしょう)、ススキ竿の場合、限界を超える大物が掛かると、竿を立てたままでは折れてしまいます。それを恐れるあまり、かかった魚が“デカすぎる”と判断した場合は、(折れる恐怖のせいで)竿を立てることができずに、わざとラインブレイクするような操作をしてしまうのです。
 と言っても、私はまだススキ竿の本当の限界を経験していないので、かかった魚が“デカすぎる”との私の判断は全くアテになりません。本当は上手くやれば獲れる魚かもしれないのに、勝手に「ススキ竿の限界を超えている」と判断してしまっているだけなのです。「ススキ竿の限界」なんてものは、何度も竿を折ることで初めて見えてくるものでしょう。
 ということで、ススキ竿での釣りにおける今後の私の課題は、まず、「竿を折ることを恐れずに、ススキ竿の本当の限界を知ること」、そして、「かつてバラした野鯉を超える大物をススキ竿で獲ること」です。
 ススキ竿、ただ“雑草”を刈り取って糸を結んで釣り竿に仕立てただだけの極めて簡単なものですが、扱ってみると非常に奥が深いシロモノです。この釣り、もっともっと探求して行きたいと思います。

 さて、ススキ竿に関するお話は、一旦ここで終わりにしたいと思います。今後またススキ竿についてお話しできるネタができましたら、改めて紹介させていただきますので、その際はまたお付き合いいただけると幸いです。

(みみっちいですが、最後にひとつ言わせてください。ススキ竿での釣りにおいて、大物が掛かったらやり取りを諦めてしまうクセが私にあるとは言っても、これまでそこそこ大きな魚もたくさん釣ってきているわけで、竿を折ったことがないのは、私の腕前によるところも大きいと自負してはいるのです。)




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